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ロドプシンにおける光情報変換

ヒトから微生物までほとんどの生物は外界から光を受容し、そのエネルギーを情報や栄養として利用しています。生物においてこれら光情報を受容する分子は様々であり、発色団としてビタミンAの誘導体であるレチナールを結合した、ロドプシンファミリー蛋白質はその代表例です。例えば、ヒトを含めた多くの脊椎動物の眼に存在する動物型ロドプシンは、光を吸収すると三量体G蛋白質を活性化することで我々の視覚形成に重要な役割を果たします。また微生物型ロドプシンの中には、光を吸収すると2回膜貫通の蛋白質を活性化することで微生物の走光性を制御しているモノや、光で細胞内二次メッセンジャー分子を制御する酵素型ロドプシンも見つかってきました。このように、一口にロドプシン蛋白質と言ってもその機能は多岐に渡るが、そもそも光のエネルギーがロドプシンの構造変化を介してどのようなしくみで伝達蛋白質の活性化をもたらすのか、その正しい描像は得られていません。

 

本研究室では赤外分光法を中心とした分光学的手段を用いることで、光吸収に伴うレチナールの異性化反応、それに続く蛋白質部分の構造変化、そして伝達蛋白質との複合体形成における構造変化を捉えることを目指しています。その中でも、現在我々は、色覚を担う動物型ロドプシンと酵素型ロドプシンに特に注力しており、色認識メカニズムの解明に向けた赤外分光測定や光で二次メッセンジャーなど細胞内シグナル伝達物質を操作する応用研究に向けた酵素型ロドプシンの分子特性の理解を目指しています。